物語の登場人物となって楽しめるゲームといえばTRPG(テーブルトークアールピージー)とマーダーミステリー。大阪梅田のマーダーミステリー専門店「フーダニット」とボードゲーム&TRPG カフェ/ショップ「アルケリンガ」は、それらをまるっと楽しめる注目のスポットです。今回は、舞台女優として活動する一ノ瀬あいみさんをナビゲーターとして楽しみ方や特徴を紹介します!
取材・撮影・構成/前川元
ボードゲーム&TRPG カフェ/ショップ「アルケリンガ」とマーダーミステリー専門店「フーダニット」は、TRPGやボードゲーム、マーダーミステリーなどを制作・出版している(株)グループSNEと(株)cosaic。のアンテナショップとしてオープンしました。両店は同じフロアにあり、受付も共通となっています。
こちらが受付とバーカウンターです。ゲームにも詳しいスタッフのみなさんが迎えてくれます。
重要なポイントですが、両店とも支払いに関しては完全キャッシュレス決済となっています。遊びに行く際にはチャージ等の確認をお忘れなく!
TRPGやマーダーミステリーはここ数年でますます盛り上がりを見せているジャンルです。内容的にもお芝居との親和性も高いという事で、今回は舞台女優として活躍する一ノ瀬あいみさんに来ていただきました!
一ノ瀬あいみ 公式ツイッター https://twitter.com/aimi_sann
一ノ瀬さんはTRPGやマーダーミステリーをプレイしたことはありますか?
一ノ瀬さん 本格的なものはやったことがないんです。簡単なものや人狼ゲームはしたことがあるんですけど、その時とても楽しかったのでずっと気になっていました!
今日はぜひマーダーミステリーやTRPGの世界を楽しんでください!
マーダーミステリー専門店「フーダニット」
マーダーミステリーとは、登場人物になりきって事件の真相解明に参加していくゲームです。参加者にはそれぞれ配役があり、まず最初に担当する登場人物の性格や事件前後の行動、そして役割などが記されたキャラクターシート(設定書)が渡されます。参加者はそれをもとに登場人物として振る舞い、他の登場人物(参加者)と情報を交換したり議論しながら事件の真相、真犯人を突き止めていくのです。犯人役になった場合は犯人として場をかく乱し、自分を無罪あるいは他の登場人物を犯人に仕立てあげる等が目的となります。
登場人物それぞれに真相解明とは別の目的も設定されていて、それをクリアするかどうかで最終的な点数が変わってきます。基本的にはその点数が高ければゲームの勝者となりますが、そういった勝敗よりもむしろ役になりきって物語の世界を楽しむことこそが最大の目的であり面白さだといえます。
「フーダニット」オーナーのひとりであり、マーダーミステリー作家でもある桜井理人さん。
桜井さん 実際にやってみると、推理って本当に難しいっていうのが実感できると思います。逆に犯人役になるとバレないようにすごくビクビクしてしまいますし、犯人以外も事件とは違う秘密や目的を持っているので、それを隠すためにおどおどしてたら疑われて犯人にされたりする場合もあったり(笑)。小説や映画のように俯瞰で見るのではなく、実際に現場の中で考えて動くっていうのはすごく難しくて、でもそんな疑似体験ができるのがマーダーミステリーの楽しさだと思います。
一ノ瀬さん 疑似体験楽しそうです! 役者同士とかでやってみたいです。
桜井さん エチュードみたいな感じにもなるので、入り込んで演技をすると楽しいと思います。自分とは違う性別の役をやってもいいですし。
マーダーミステリーの世界にしっかり入り込める雰囲気です。
一ノ瀬さん あの……役者同士でやりたいと言ってはみたんですが、わたしは友達が少なくてそんなに人数が集められないと思うんです。それでも大丈夫ですか?
桜井さん もちろんです! むしろ、そういう人たちのためにお店を作ったんです。マーダーミステリーをしたい人を8人集めるとか大変ですよね(笑)。でも2人とか3人とか、それこそ1人でも遊びたいっていう人が集まって、そこで初対面の人たち同士でも遊べるように作ったお店なんです。
一ノ瀬さん すごく素敵です!
桜井さん ゲームとしても「事件が起こった現場にたまたま居合わせた人たち」いう設定が多いので、初対面の方同士でも自然に楽しめます。それに「フーダニット」は女性スタッフも多いので、女性の方おひとりでも参加しやすいと思います。
一ノ瀬さん 思ってたより全然気楽に参加できる感じなんですね! ますます興味が湧いてきました!
「フーダニット」での遊び方
ということで、ここで「フーダニット」での遊び方を紹介します。マーダーミステリーは完全予約制になっていますので、まずは公式HPのイベントカレンダーをチェックましょう。下記のように、いつ、どのタイトルの“公演”が開催されるかがカレンダーに表示されていますので、参加したい“公演”を選んでチケットを購入すればOKです。
一ノ瀬さん いろんなタイトルがありますけど、どうやって選ぶのがいいですか?
桜井さん ホームページにも各タイトルの詳細が載っているんですが、タイトルそのものや設定にピンときたらでいいと思います。ゾンビ! 気になる! とか(笑)。どれか気になるタイトルはありますか?
一ノ瀬さん わたしは「河辺の夜の夢」が演劇っぽくて気になります(笑)。
桜井さん そういう選び方で大丈夫です(笑)。インスピレーションで選んで遊びに来ていただけたらと思います!
上の写真で一ノ瀬さんが熟読しているのがキャラクターシートです。自分が担当する登場人物の情報が書かれていますので、まずはしっかり読み込みましょう。また、他の参加者からみて役がわかりやすいように名札もつけています。
各公演の料金(3,000円~)にはワンドリンクが含まれています(アルコール除く)。こちらは万が一にも事故がないようにとタンブラーで提供されます。
「フーダニット」では“作者の代弁者”とも呼ばれていますが、司会役スタッフがGM(ゲームマスター)として説明や進行をしてくれるのでマーダーミステリーが初めての人も戸惑うことなく参加できます。桜井さんのようにシナリオの作者自身がGMを担当する場合もあり、それもまた「フーダニット」ならではの楽しみのひとつとなっています。
ちなみになんですが、自分が書いたシナリオを元に参加者が推理していく様子をGMとして見るというのはかなり楽しいのではないでしょうか?
桜井さん 楽しいです(笑)。「そこに気づいてほしかったんよ!」「そう思うよね? そう思うように作ったんよ!」とか楽しみながら進めています(笑)。作者が見せたいエンディングを迎えてくれたらすごくうれしいですね!
落ち着いた雰囲気で進行していても、内心ウッキウキなんですね!(笑)。
マーダーミステリーでは参加者同士で“密談”をするので、カーテンで仕切られた密談スペースが用意されています。密談に誘う女、一ノ瀬あいみ…!
参加者同士で情報を交換したりします。目的のため、正直な話をすることもあれば嘘をついたり大事な情報を隠したりするなどの駆け引きが重要になります。
深紅のカーテンなどの内装もミステリーの世界への没入感を後押しします(写真はちょっとかわいい感じになってますが)。さらに要所要所で流されるBGMなど、雰囲気を盛り上げる演出は専門店ならではです。
密談スペースは3カ所。テーブルスペースと合わせると4カ所になるので、参加者は場所と相手を変えながら情報を集めていきます。
マーダーミステリーの1公演あたりの時間はシナリオごとに決まっています。3時間から4時間のシナリオが多いですが、実際にやるとあっという間です。じっくり推理するには足りないくらいかもしれません。手がかりが集められていなかったり考えがまとまっていなかったり、さらには何から何までわからなくても時間だけはすぎていきます。個人的には、そんな事件の渦中に放り込まれたのに何もできない人物の無力感を楽しむのもありのような気がします(経験あり)。もちろん名推理を披露できれば最高に気分がいいのですが、楽しみ方は無限大なので!
「フーダニット」で参加できるマーダーミステリーは全種類パッケージとして販売されています。
気になるタイトルを購入し、自分たちで趣向を凝らした会場や演出を用意して遊ぶのもまた楽しいはず!
“読む、観るではなく体験するミステリー”ことマーダーミステリー。その世界に没入できる「フーダニット」で、ぜひ物語の一員となって楽しんでみてください!
マーダーミステリー専門店「フーダニット」
〒530-0027
大阪府大阪市北区堂山町17-8北シャトービル6階
完全予約制 下記HPのスケジュールから予約。
公式HP https://whodoneit.xyz/
ボードゲーム&TRPG カフェ/ショップ「アルケリンガ」
「アルケリンガ」では、TRPGや世界中のボードゲームをソフトドリンク・アルコールを飲みながら楽しむことができます。ルールなどに関してもスタッフが説明してくれるとのことなので、初めてのゲームも積極的に挑戦していきたいところです。
※混雑する時間帯や状況によってはじっくり説明してもらうことが難しい場合もあります。店内の様子を見ながら快適に楽しみましょう!
プレイスペースでは実際にゲームを楽しむことができます。プレイスペースの料金は1時間500円、平日最大1,500円、土日祝最大2,500円となっています。(税込 1名料金 ワンドリンクオーダー制)※2023年7月9日記事修正
店内奥の壁に並ぶゲームはプレイスペースで自由に楽しむことができます。
また、持ち込みも可能なのでゲームのためのレンタルスペースとして使うこともできます。
「フーダニット」のドリンクはタンブラーですが、「アルケリンガ」は通常のグラスでの提供となります。ちなみにおすすめのアルコールドリンクは「イェーガーマイスター」というドイツのカクテルらしいです。
桜井さん ボードゲームの本場といえばドイツなので(笑)
TRPGやボードゲームは雰囲気から入ることも重要なのでこういう遊び心は最高! あとドイツ関係は名前がかっこいいので思わず注文したくなる罠もあります。かっこいいですね、「イェーガーマイスター」。
清潔で広い店内でのゲームは快適そのものです。4名テーブルと6名テーブルがあり、かなりゆったりと楽しめます。
奥の別室はTRPGスペースです。こちらもかなりゆったりとして個室になっています。
TRPGのプレイの他、グループSNEのゲームデザイナーがゲームマスターを務めるTRPGや新作体験会など各種イベントの開催スペースにもなっています。
TRPG関連の書籍なども置かれています。完全に余談ですが、その昔TRPGサークルに入っていてドラゴンブックの「クロちゃんのRPG千夜一夜」とか「ファンタジーRPGクイズ 五竜亭の一夜」を読み込んでたので、この背表紙を見るとちょっとうれしくなります。
TRPGに欠かせないものといえばダイス。不思議な大きさのダイスが置いてたので一ノ瀬さんに持ってもらいました。クリティカル出す気満々の表情ですが、こういう場合はだいたいファンブルになります(経験則)。
「アルケリンガ」で開催されるイベントは、公式HPのイベントスケジュールで確認できます。
桜井さん 「アルケリンガ」も、面白いゲームをもっと広めたいという気持ちから生まれたお店です。すごく面白いのになかなか日の目を見ないゲームが埋もれてしまうのってほんとにもったいないので、面白いゲームはここにあります! ルール説明もしっかりやるので遊んでほしいんです! っていう気持ちです(笑)。新しいゲームはもちろん、古いゲームもたくさんあるのでぜひいろいろ楽しんでいただきたいです!
ボードゲーム&TRPG カフェ/ショップ「アルケリンガ」
※「アルケリンガ」はオーストラリアの先住民族・アポリジニの言葉で「黄金時代」の意味。
大阪府大阪市北区堂山町17-8北シャトービル6階
一ノ瀬さん マーダーミステリーやボードゲームのお話をいろいろ聞いて、自分でもやってみたくなりました。すごくきれいな空間で誰でも誘って遊びに来やすい雰囲気でしたし、 1人でも楽しめるみたいなので気軽に参加出来そうです! いつか役者仲間を集めて本気のマーダーミステリーとかもやってみたいなぁ。 楽しい時間をありがとうございました! みなさんも是非遊びに行ってみてください!
「フーダニット」も「アルケリンガ」も、「面白いゲームをもっと広めたい! 遊んでほしい!」という好きだからこその熱意から生まれたお店です。だからこそ、ゲームの充実だけではなく遊びにくる人が快適に楽しめるような心づかいが各所にあるのだと思います。マーダーミステリーやTRPGが好きな人はもちろん、興味はありつつもきっかけがなく未体験だった人もぜひ気楽に足を運んでみてください!
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