「読まずに推せるか!」第3回は「リリシック学園」吉野早紀さんに、大好きな戦国時代をはじめとする歴史趣味の話をお聞きしました。17歳にしてあふれる歴史愛、戦国愛、そして理知的に趣味を楽しむバランス感覚はまさに麒麟児。「浅井家箱推し」「お城に惑わされたい」「歴史は全部が楽しいです!」など名言も続出のインタビューをお楽しみそうらえ!
リリシック学園 吉野早紀(よしのさき) 2002年9月18日生
目次
一番は浅井長政様!「浅井家箱推しです!」
–戦国時代が大好きということですが、好きになったきっかけはなんだったんですか?
吉野 『戦国BASARA』の伊達政宗です。もともとアニメの『銀魂』を観ていたんですが、それに出てくる土方さん役の中井和哉さんが声をやってて「かっこいい!」って。それで気になっていろいろ調べました!
–それじゃ最初は伊達政宗からだったんですね!でも今、一番好きな戦国武将は…。
吉野 浅井長政様です!
–好きになったのはどうしてですか?
吉野 最初は伊達政宗ばっかり調べてたんですけど、親に「父方の家に浅井家の家系図があるから調べてみたら?」って言われて、それでまた調べたり小谷城に行ったりしているうちに好きになったんです。
–なんと、由来があったんですね!
吉野 「家系的に関係があるから調べてみ?」っていわれて、どっぷりハマッちゃいました!
–浅井長政のどういうところが好きになったんでしょうか?
吉野 戦国武将って、男の人が強くて戦に負けたら奥さんも子供も自害させたりするじゃないですか。でも浅井長政は死なないように逃がすっていう優しさがあるんです。あと、家臣団も上から支配するんじゃなくて、横のつながりを大事にしながら国を治めてたとか。そういう優しい面が好きです!
–家臣団と一緒に父親を隠居させても、追い出したり殺したりはしてないですもんね。
吉野 そうなんです!
–それじゃ、武将としても大名としても浅井長政が好き?
吉野 はい! 浅井家は、長政様だけじゃなくてまわりの家臣団も含めて好きなんです。だから、浅井家箱推しです!
–大名家箱推し! 新しい!(笑)
吉野 そう!箱推しなんです!(笑)
–その箱推しの中でも、特に家臣は誰推しですか?
吉野 えー! いっぱいいるんですけど、有名どころでいうと磯野員昌(いそのかずまさ)! それと遠藤直経(えんどうなおつね)とか赤尾清綱(あかおきよつな)とか大好きです!
–信長の野望でも頼りになる面々ですよね! そういえば、今年の大河ドラマの『麒麟がくる』でも浅井家は登場しそうですが…。
吉野 そうですよね! 日曜日はたいがいライブがあって観れないんですけど、もし浅井長政様が出てくるならぜひ観たいです!
–誰が演じるんでしょうね。いつもちょっと二枚目がやるイメージですけども。
吉野 そうなんです。他の作品でも、出番はちょっとですけどキラッとした感じで、おおっという感じで出てくるんで楽しみです!
生誕祭に島左近が来るアイドル、吉野早紀
–浅井長政、浅井家以外には島左近が大好きとのことですが。
吉野 はい! もともとゲームとかアニメで知ってはいたんですけど、最初は長政様みたいにこんなん(拝む感じ)ではなかったんです。それが関ヶ原のアイドルイベントに行った時に、笹尾山の石田三成陣地に甲冑を着た方が立っていて…。
–それが三成に過ぎたるもののひとつ、島の左近!
吉野 そうなんです! 地元で活動する武将隊の方で、最初はモニタリングかなんかのドッキリだと思って(笑)、こわごわ近くに行ったらすごく気さくで、「誰なんですか?」って聞いたら「島左近じゃ」って教えてくださったんです。それで、またいろいろ調べて好きになりました。
–すべては関ヶ原から始まった……!
吉野 でもいつもいらっしゃる方ではなくて、土曜か日祝にだけいらっしゃるレアキャラなんです。
–すごい把握してますね(笑)
吉野 してます! めちゃくちゃかっこいいんです。写真もあります。この時は甲冑じゃなくて袴姿なんですけど…。
–ほんとだ。かっこいいし、隣の着物姿の方もきれいです。
吉野 島左近さんには、生誕祭にも来ていただいたりしました!
–島左近が参戦するアイドル生誕祭…!
吉野 こないだも関ケ原にライブで呼んでいただいたり、オフ会で遊びに行ったりさせていただいてます。
–趣味から広がるご縁、すばらしいですね! では島左近の武将として好きなところは?
吉野 信長とか秀吉みたいにいろんな情報がなくて、ミステリアスなところがいいです。こういう説もあるし、でもこっちの説もあるしみたいな。それに視野が広いサポート役として石田三成を支えていて、しかも勇猛果敢なところです!
–人に誤解されやすい主君を理解して支えるって感じですよね。
吉野 そうなんですそうなんです! 三成が嫌われてるぶんをうまくサポートする左近ってところがとても好きです。
姉川の戦い、関ヶ原の合戦が好き!
–人物以外、たとえば好きな合戦やお城なんかありますか?
吉野 好きな合戦は姉川の戦いです! 磯野員昌が織田軍をすごい崩していくのが有名なんですけど、それだけじゃなくて遠藤直経が織田軍の兵に変装して信長目指していく場面がとても好きなんです。いろんな本で描かれてますけど、その場面にびっくりして、うわー! ってなりました!
–一歩及ばずの名場面ですね。
吉野 あと関ヶ原の合戦ももちろん好きです。実際に行っている回数が多いですから! 自分の足で回ってみると「こんな景色が見えるんや」とか、「この立ち位置からこういう陣地の見え方がするんや」とかいろいろわかるじゃないですか。本で読んでて「なんでここがつながるの?」って不思議でも、いざ現地に行ってみると「あ、この距離感かあ」ってわかってすごく楽しいです。
–現場主義! 関ヶ原はかなり愛着のある戦場なんですね。他に好きだったり行ってみたいお城や場所はありますか?
吉野 浅井家の小谷城とかは行ったので、次は一乗谷城に行ってみたいです。すごくかっこいいじゃないですか。水が張ってて、橋があって、門がすごくかっこいい! 朝倉家って頼りねーとかダメだなーって印象が強いんですけど、でも北の京都みたいに賑わう街をつくったので実際はすごいんだろうと思うんです。今はその街並みを再現しているみたいなのでぜひ行ってみたいです!
–近江から越前へ、織田家の進軍ルートみたい。
吉野 逆に自分が進軍していく感じ(笑)。あ、あと姫路城も行きたいです! 歴史が好きな同級生が、姫路城に行った時迷子になったっていってたんです。目的地に近づいたと思ったら遠ざかってたりして、お城の仕掛けがすごかったって聞いて「うわ行ってみたい!」って。
–名城の縄張りを実感ですね。
吉野 迷子になってみたいじゃないですか。惑わされたいじゃないですか!
–お城に?
吉野 お城に惑わされたいです! あとは、好きなお城って建築物はほとんど残ってなくて、土堀とか石垣の跡しかないところが多いんです。でも土の盛り方とか石垣の積み方とかも地方によって違ったりするので、そういう所にもじっくり見に行ってみたいです。
–そういう目線だと、現存する城下町を歩いてても楽しいでしょう。
吉野 楽しいです! 普通に歩いてて、なんか道の感じがおかしいなと思ったら昔は門があった場所だったとか。お散歩しながら「だからこうなってるんだあ」とか思えるのですごい楽しい。今は遠くに行きにくいですけど、早くいろんなお城に行ってみたいです!
世界史ではメソポタミアが熱い!
–戦国時代以外にもいろんな歴史に興味があると思いますが…
吉野 幕末とかフランス革命の頃も好きなんですけど、今熱いのはメソポタミアです!(※ 上はシュメール人のポーズらしい)
–メソポタミア! 意外なところにきました!
吉野 楔形文字の本とかも持ってます。ギルガメッシュ叙事詩っていう神話みたいのがあって、それを読んでて当時の生活とか知りたいなあって思って調べるようになったんです。
–そのへんは一次資料も少ないんでしょうね。
吉野 石板っていうか粘土板に書かれてたので、ボロボロに崩れてベコベコのやつしか見つかってないみたいなんです。話の大事なところが抜けてたり、いろんなところが欠けててちょっとわかりにくいんですけど、そこは想像して楽しむことができるので……。でも同じ人なのに資料によって名前が違うとか、ほんとにわかりにくいです。しかも、神様も出てくるんですけど、普通の人だと思ってたのに突然「あ、神様だったんだ」って気づいたり。こっちは人だと思ってナチュラルに接してたのに、「え? 神様やったん?」って(笑)
–どの時代にも推しがいると思いますが、メソポタミアでは?
吉野 ギルガメッシュです! 太古の王様なんですけど、半分神様で半分人間なんです。いろんなアニメやゲームでとりあげられてて、それも好きなんですけど、そうじゃない文献の中のギルガメッシュも好きなので両方楽しめておいしい感じです(笑)
–ごもっとも! 史実とフィクションを知れば倍楽しいってのは間違いないです!
吉野 史実のこの逸話をすごく誇張してフィクションではこういう描写にしてるんだな、ってわかるとすごく楽しいですよね! 同じ人物でも作品によって全然違う描写になるのは、それぞれ違う部分を強調してるからなんだなって。だから、史実も楽しいしフィクションも楽しい。歴史は全部が楽しいです!
好きな戦国時代関連の作品は…?
-それでは、戦国時代関連の映画や本で好きなものを教えてください!
吉野 映画『関ヶ原』(2017年 監督原田眞人 )です。結構難しい言葉を早口でしゃべるので一生懸命かじりついて観ないとダメなんですけど、何回も観てるうちに見逃してたところに気づいたり理解できる部分があって、噛めば噛むほど楽しめました。
–あの三成は稀にみる身体能力でした。
吉野 すごいですよね。三成なのにめちゃくちゃ強かった! あと、本だと『浅井長政正伝―死して残せよ虎の皮』です! 小学校2、3年の時に読みました。長政様だけでなくて、家臣との話もいっぱいでてくるんです。
–完全に大人向けの本ですね
吉野 難しい言葉がいっぱいで、辞書を引きながら読んでました。昔から何回も読んでるので、これも読むたびに新しい発見があります。
–他にも戦国時代の読みやすい1冊をおすすめするならなんでしょうか。
吉野 『戦国武将の履歴書』って本がありまして……。武将の肖像画があって下に経歴がぶわーって書いてある、まさに履歴書みたいな感じですごく読みやすいんです。年代順の経歴に加えて逸話とかもふわーっと書いてあって、これもおすすめです。
–それはだいぶ気楽に読めそう!
吉野 小学生の自分でも読めたので、気楽に読めると思います。
–『浅井長政正伝―死して残せよ虎の皮』を読んでた小学生は基準にならないですけどね!
吉野 けっこう変わった子だったかもしれません!(笑)
–姫路城に行ったお友達以外で、まわりに歴史好きな子とかいますか?
吉野 いないです……。けっこう孤独に生きてます(笑)。学校で歴史好きっていうと「すごーい!」とか「えらーい!」っていわれるんですけど、別に勉強してるわけではなくて。ジャニーズとかKPOPとかを好きでも「えらーい」とか言わないじゃないですか。
–好きなことをしてて「えらいね」って言われるのも変ですもんね。
吉野 学校では少なくても、ライブに来てくださるお客さんが「歴史好きって聞いて来たよ」とか「何が好きなん?」って聞いてくれたりして、そんな感じで輪が広がってすごくうれしいです!
リリ学メンバーを戦国武将にしてみました
–ここで、リリシック学園メンバーを戦国武将に例えてみてください!
吉野 実はイラストにしたことがあります!
–では、ひとりづつ説明をお願いします!
吉野 はい! まず、一番上の左側、石田三成がわたしです! 早紀はリリ学メンバーの中だと真面目だと思うんです。自分でいうのもなんですけど(笑)。だから石田三成!
–確かに三成は生真面目、クソ真面目というイメージがあります。
吉野 親に相談したらあんた頭固いから三成にしときって言われたので。そんな理由なんですけど(笑)
–頭が固いから三成、っていうのはだいぶ冴えてますね。
吉野 次、その隣はやのちゃん(矢野瑞姫)。やのちゃんは徳川家康かなって。新しいこともするし、我慢強いので。
–重き荷を負いて遠き道をゆくアイドルやのちゃん…!
吉野 真ん中の左は、小早川秀秋のくるるん(森原来未)! くるるんはほわほわしてるのでどっちにでも、どこででもいけるかなって。小早川秀秋も、東軍西軍どっちにもいけるじゃないですか。
–金吾を「どっちにもいける」と評した人は初めてですよ
吉野 裏切者っていうと角が立つじゃないですか。でも、どっちでもいけるっていうと適応能力が高そうでいい感じかなって。
–目線が優しい!
吉野 浅井長政様も裏切者じゃんって言われがちですけど、でも調べるといろいろ違うんだよって思うので……。裏切りでなくて、どっちもいけるとか、そういう風に思っていきたいです。
–愛情にあふれてますね。そして中段の右は?
吉野 ひなたん(吉川姫奈)の宇喜多秀家です。ひなたんは、このイラストを描いた時は研修生だったんです。だから関ヶ原で西軍の最前線で戦った宇喜多秀家みたいにどんどん前に出てほしいという願いをこめました! あと、なんとなくのんびりしたイメージなので(笑)
–宇喜多秀家は二代目の育ちのいい感じありますもんね。親父の直家じゃなくてよかったです。宴会に誘って殺しますからね。
吉野 秀家のほうなので大丈夫です(笑)。一番下の右側はあんにん(榎畑安莉)! あんにんは最年少で中2なんです。中2って無敵じゃないですか。だから戦国最強の武将本多忠勝です!
–-まさかの中2=最強=本多忠勝という三段論法でした。吉野ロジック三段撃ち! さて、あとひとり残ってますね。戦国最強の男、赤備えの真田幸村が。
吉野 これはマネージャーの山川さんです!
–えっ!
吉野 真田幸村といえば六文銭。お金じゃないですか、マネージャーさんって、もちろんお金以外のこともいろいろしてくださるんですけど、やっぱりお金に関わることが多いので…。あと、誰がいいですか? って聞いたら有名なのがいいってことだったので真田幸村にしました!
–「決まっておるだろう、真田幸村よ」って感じでしょうか!
自慢の逸品~戦国グッズを披露!
–いろいろ自慢の戦国グッズも持ってきていただきました。
吉野 はい! まず、これは杉でできた軍配です! これに「古戦場おもてなし武将隊 関ヶ原組」の方全員のサインをいただいたんです。
–ほんとだ。黒田長政、福島正則…鬼左近!
吉野 宝物です! 部屋の一番いい位置に飾って、「よし!」って眺めてます。それと、その土地でしかもらえないパンフレットとかもたくさん集めてます。小谷城のパンフレットにもスタンプを押して、あと関ヶ原でもらえる地図とか。ネットで見たら詳しい地図がいっぱい出てくるんですけど、やっぱり紙でほしいので。
–現地でもらうものは値打ちが違いますよね。でもほんとになんでもとっておくんですね。素晴らしいです。
吉野 なんでもとってます! なんなら、関ヶ原交流館でもらえる袋もとってます! こうやって西軍と東軍の家紋が入ってるんですよ。
–本当だ!
吉野 普段はきれいにたたんでファイルブックにいれてます。あとはこれ、御朱印帳! 京都の島左近ゆかりのお寺(教法院)で、命日限定の御朱印帳があったんです。わたしはライブがあって行けなかったんですけど、お母さんに無理やり頼んで買って来てもらいました!
–豪華な仕様ですねえ。
吉野 お気に入りポイントが色なんですけど……ここ、わたしのイメージカラーの青なんですよ。これは私信を感じちゃいますよね。もしかしたら島左近に意識されてるのかなあって(笑)
–たぶんそうですよ! 思ったらそうなんですよ!
吉野 そういうことにしておきたいです! 初めての御朱印帳なので緊張しますけど、気合を入れて使っていきたいと思います!
–青といえば、生誕祭の時の青いTシャツのイラストも自分で描いたとか。
吉野 はい、浅井長政様の甲冑が大好きなんですけど、その胴の部分が青色なんです。Tシャツには、これをモチーフにした甲冑を着てる自分を描きました!
–集めるだけじゃなくて、いろいろ描いたり作っちゃうところが素晴らしいですね。
吉野 自分が推してる武将のグッズってなかなかないので、なかったら作ろうと思って! ちっちゃい頃から折り紙で好きな武将の兜をつくったりしてました。「グッズがないなら作ればいいじゃない」って!
–マリやんも「パンがなければ作ればいいじゃない!」の考えで自らパンを作ってたら、革命もギロチンもなかったでしょうね。最後に、今日はアイドル衣装でない私服でとお伝えしましたが、来てみたら甲冑で待ち受けてたのでエライことになったと思いました!
吉野 これは島左近さんの陣羽織です! 背中に家紋も入ってます。気合が入ります!
–私服、とは…! これからも、愛情と行動力、創作力あふれる歴史趣味活動を楽しみにしています。本日はここまでにいたしとうございます。アテブレーベ オブリガード!
リリシック学園
吉野早紀(よしのさき)
2002年9月18日生
ニックネーム さきてぃ
担当カラー 青色
公式Twitter https://twitter.com/lilygakusaki