ポートレート撮影のロケハンを兼ねた散歩として、この日は昭和町に行ってみた。ロケハン散歩といっても、昭和町では何度か撮影しているのでロケハン半分撮影地巡り半分という感じ。スタート日時は1月中旬の15時頃。光の感じなどは、その時間を参考にしてもらえると幸いです。
スタートは大阪メトロ御堂筋線昭和町駅の3番出口。まずは、ここからすぐの文の里商店街に入ってみる。ちょっと前に面白いポスターで話題になった商店街ですね。さっそくいい感じの白壁の建物を発見したものの、個人宅のようなので写真はなし。でも白い壁に木製の扉で、すごくいい雰囲気だ。
頭上に手書きイラスト風ののぼりを発見。セーラームーンのようなそうでないような、幼児が描いたようで絶妙にプロ感もあるイラストだ。実際はどうなんだろうか。子供が描いたのか大人が描いたのか、セーラームーンなのかそうでないのか。もしかすると「セーラームーンじゃありません!月野うさぎちゃんです!」と言われるかもしれない。
商店街のわきに出る路地にいい光を発見。この奥の扉のあるあたりに被写体に立ってもらって、広めで撮ったりすると雰囲気でますね。逆に、アーケードぎりぎりのところで外に向かって立ってもらって外側から撮ると、順光で顔はきれいに明るく背景は落ちていい感じになります。こういう光がはっきりしてるスポットでは、せっかくなのでいろんな向きで何パターンかおさえておきたいですね。
商店街を突き当りまで歩いて右に折れると、古本屋さんがあった。日替わりで店主が変わるという面白いシステムのお店らしい。その並びには和菓子屋などもあって、撮影中のお菓子補給にもよさそう。ポートレート撮影では、とりあえず甘いもの食べてもらうと楽しい表情になったりするので。桜餅とか買いたかったけど、今回は見送り。なぜなら、カバンの中にあらかじめ買っておいた大福が入っていたから。
そのまま歩いていくと、大阪メトロ谷町線の文の里駅に行きつく。このへんは御堂筋線と谷町線がすごく近いのか。地下鉄駅の上に高速道路が走っていてちょっと不思議な感じ。ちょうどいい感じの光が入っていたので、この通路で撮ってもおもしろいかも。
高速道路の高架の向こうにも商店街があった。こちらはさっきよりもうひとつ古い感じでさらに趣がある。
その商店角に入る角の居酒屋。実際に飲みにいったら何杯でも飲んでしまいそうないいお店感がすごい。そして外観の雰囲気、色味の情報量が多い。ここを背景に寄りでも引きでも何パターンも撮れそうだ。
このかわいい昭和感!
さらに歩いて見つけた、西日に照らされる植木鉢。こういうのはつい撮っちゃう。
文の里駅から南にある桃ヶ池公園に向かう途中にあった、SAN BLUE。喫茶店だったのかスナックだったのか、営業はしていない感じだけど往時は人気おしゃれスポットだったような雰囲気。2階の青いシェードがシャレてる。
けっこう広い桃ヶ池公園。北から入るとすぐの遊具のあるエリアは、お子さんたちが遊んでることが多いので撮影には不向きかも。ワンコを連れたおばあちゃんも散歩してる。犬を散歩させてる、ではなく一緒に散歩をしている感。天気もよくいい風景だ。
春には桜が咲いてきれいだと思われる、この遊歩道で散歩風写真もいいかも。ただ、道幅は狭く歩行者、自転車の通行がけっこうあるので邪魔にならないタイミングが難しいかもしれない。外撮影は周りの人の迷惑にならないことが大前提で、いい写真云々はその次の話なので。
緑に囲まれたグラウンド。この日は野球キッズが楽しくプレイボールしてました。ここも春には花見客でいっぱいになりそう。
東屋のハトばあちゃん。こちらも平和な風景だ。
こういう東屋(あずまや)は時間帯によっては光の入り方とかが絶妙で、柱を活用したりするといい感じに撮れたりする。たまに柱に張り紙があったりすると残念ながらフォトショップの出番ですが。どうして“東屋”という名称なのかというと…。東屋は柱と簡単な屋根の造りの休憩所的な、言ってしまえば粗末な建造物。で、東屋の東というのは京都から見て東、東人(あずまびと)とか呼んで田舎者扱いしてた地方(関東)のことを指す“東”らしいんですね。つまりは「東の田舎者が住んでるような適当な建物やから名前も東屋でええやろ」ということらしい。普通に悪口! 普通に意地悪!
この木なんの木りっぱな木。よく見たら2本が仲良く立ってるようで、上のほうとかはどっちの葉なのかなんなのかよくわからない。この木を背景に、被写体を橋の上にして撮ってもよさそうだ。橋と木の距離的に広角で広く撮りたくなる。
それにしても、なんとか池公園というのはたいていは大きな池のほとりにある公園だと思ってたら、桃ヶ池公園はほんとに池の中にある公園でちょっと不思議な感じがする。公園の真ん中あたりは一般住宅エリアで、それもよく考えるとすごい立地だ。
こちらは股ヶ池明神。読み方は「ももがいけみょうじん」とのこと。手前の赤い欄干もきれいだ。色味にアクセントを入れたい場合はここを使いたい。
このへんも春は桜が咲いてきれいなスポット。ここで実際に撮った写真がこちら。
ポートレートグラビア 「すーぱーぷーばぁー!!」藤堂未渚 (画像を押すとページ移動します)
ポイントとしてはややずれているが、桜がきれいな道です。
それにしてもいい天気だ。平日のこんな時間に散歩しているあれは誰だ、誰だ、俺だ。
逆光で色がわかりにくいオレンジのベンチ。道を挟んで向かい合ってるので、反対側は順光になる。光の加減でいいほうを使いたい。
冬の散歩道という雰囲気のグラウンド脇も、春にはこの写真みたいな感じになる。
ポートレートグラビア 「すーぱーぷーばぁー!!」藤堂未渚(画像を押すとページ移動します)
この道も、季節が進むとこんなにきれいになる。
ポートレートグラビア 「すーぱーぷーばぁー!!」藤堂未渚(画像を押すとページ移動します)
上の写真は日が高い春の季節で時間も14時くらいだったと思うので、光の当たり方が程よいですね。
桃ヶ池公園を出ると、すぐにJR阪和線の南田辺駅に行きつく。
駅の東側。情報量が多い。すごくいい。
西日が高架にさえぎられるギリギリの時間か。
たこせんもあるよ!!
名居酒屋として全国的に有名なスタンドアサヒ。ひさしぶりに行きたい。でもまだ開いてない。
奥に見えるのが阪和線の高架。ほんとにギリギリの西日だ。このフェンスにもたれてもらって逆光気味で撮るとかかっこよさそう。
線路の反対側、西側にある長池公園へ。南北に長い池だから長池公園。たぶん。ここも逆光気味で、全身を階段上目から撮りたくなる。影が階段でジグザグになる感じとか入れ込みたい。
寄り目で撮るとするとこんなアングルか。
南田辺駅の駅前を西に歩いていくとレンタルスペースの阿倍野長屋がある。ここで室内撮影をしてから周辺での野外撮影するととても便利。実際に阿倍野長屋で撮影したのがこちら。
ポートレートグラビア Yes Happy! さやか・こころ(画像を押すと記事ページにいきます)
東側から南をぐるっとまわって御堂筋線昭和町駅まで戻ってきた。こちらはスタートの3番出口とは道路を挟んで反対側の5番出口だ。ここから、御堂筋の西側のエリアを歩いてみたい。
5番出口すぐに長屋を活用したお店が並ぶ路地がある。いい雰囲気、なのではあるが、あくまで撮影視点としては自転車が多く、お店の前での撮影になるのでちょっと避けたほうがいいかなという気持ちになる。
こっち向きの角度で背景ボカシ気味で撮るのがいいような気がする。
さらに歩いていくと阪南中公園に着く。住宅街の真ん中で、遊具もあっていかにも憩いの公園という佇まいだ。あらためて写真を見るとだいぶ暗くなってる。どの公園にもいえることだけど、周囲に高い建物がある場合は時間によっての日当たりに注意ですね。
腰掛けるのにちょうどいい岩。ここで撮った写真がこちら。
ポートレートグラビア 「すーぱーぷーばぁー!!」藤堂未渚(画像を押すとページ移動します)
この公園も桜や新緑の季節もほんとうにきれいです。
こちらは阪南中公園の北側の路地。
ポートレートグラビア 「すーぱーぷーばぁー!!」藤堂未渚(画像を押すとページ移動します)
とても気に入ってる1枚です。
上の路地の先は学校で、ちょうど裏手のほうに出る。学校沿いの地味な路地にも思えるが、だがそれがいい。
ポートレートグラビア 「すーぱーぷーばぁー!!」藤堂未渚(画像を押すとページ移動します)
タイミングがよければいい光が入る。
なお学校の表側、正門のほうも当然きれいではあるが、今回の散歩では正門のほうは撮影していない。実際にはこんな感じで撮りましたという写真がこれ。
ポートレートグラビア 「すーぱーぷーばぁー!!」藤堂未渚(画像を押すとページ移動します)
道路をはさんで正門とグラウンドがあるので、公道とはいえほとんど学校の敷地みたいな感じ。ひとりでカメラを持って歩く散歩においては間違いなくデンジャー・ゾーンといえる。自分の意識では写真散歩でも、はたから見るとカメラを持って学校近辺を徘徊してる怪しいおっさんなので、そこはもう自覚して、あえていうなら自分のために周囲に気を配るのが大切。せっかく楽しく写真散歩してるのに、怪しまれて怒られたら気分も台無しなので!
このあたりで一服したくなったら、阪南中公園横にある金魚カフェがいい。でも今日は休み。かわりというわけではないが、その横にあるそば屋に初めて入ってみた。
手作り感のすごい看板には「夢KAN」と書いている。ちょっとそば屋っぽくはない店名だけど、すごくいい雰囲気がただよっている。「そ~ば」というのれんも、「笑顔をそばに」という駄洒落感もすごくいい。寅さんも「信州信濃の新そばよりも、わたしゃあなたのそばがいい」とか口上で言ってたけど、こういう伝統ある駄洒落にはなんともいえない安心感がる。
入ってみると、4人くらいのカウンターの奥に座敷がある。いろいろすごい。人の家みたいな感じで、「お邪魔します」とか言っちゃいそうだ。
ひとりなのでカウンターに座って、優しい雰囲気のご主人が出してくれたお茶を飲みながらメニューを眺める。外の看板などをこのご主人が書いていたと思うと、それだけでいい店決定。メニューを見ればますます確信だ。お品書きも文字もたまらない味がある。これだけで楽しくなってくる。
お酒の飲めるということで、お手頃なアテもいろいろ。もうね、「おかずにもなるヨウ」とか、これみて楽しくならない人はいないでしょう。とりあえず、冷酒を頼んで、そのアテにおやきもいただくことにした。
おやきは種類があるので、「お酒にはどれがどれがいいですか?」と聞くと、「アテとしてならネギみそ、野沢菜がいいと思います」とのこと。そしたらお酒を冷やで、それにおやきのネギみそをください。それとざるそばで!
しゅっと出てきました。ちょっと豆がついててうれしい。クイーッといく。旨い。
そして、ネギみそのおやき。絶妙に表面がカリカリでフワフワの皮の中に、ほどよい味つけのネギみそ。これをかじりながら飲むお酒、最高に旨い。ほどよくピリッとくるネギみそはそれだけでもうまいけど、皮との相性も抜群。気持ち的にはこれだけで満足だ。
楽しくのんびりしてるうちに、出てきたざるそば。お酒を飲みながらペロッと食べちゃう。老舗!とかこだわりのそば!とかの大仰なものでは決してないけど、日常の昼下がりに食べたら幸せになれる味。
しかも、店の奥のラジカセからは河島英五の「時代おくれ」が流れている。それは狙ってたらいやだなと思ったんだけど、なんとなく聞いたらそれは阿久悠作詞曲を集めたCDらしい。なので、その次は大橋純子の「たそがれマイ・ラブ」とかが流れてきた。いい。とにかく気分がいい。
1日2杯の酒を飲み、の部分だけは「時代おくれ」に忠実に、おいしいそばとほっこりする雰囲気を満喫して外に出た。ほんとに気分がいい。ここで終わってもいいけど、最後は知ってるお店で一服することにした。
ということで、最後に来たのはボードゲームカフェの「デザート*スプーン」さん。こちらは以前に新聞やサイトの取材でお邪魔させていただいてから、ちょいちょい寄らせてもらってるのです。
取材した記事はこちら
→仮面女子:イースターガールズが体験レポート! ボードゲームカフェ「デザート*スプーン」
何百種類のボードゲームで遊べる「デザート*スプーン」さん。ホットコーヒーをいただいて、店主の加藤さんといろいろよもやま話でのんびりさせていただいた。
何回か撮影にきてる昭和町も、あらためて散策すると撮りたいスポットが新たに見つかって楽しかった。宿題としては、今度は夢KANさんであったかい“かも汁そば”も食べてみたい。次回撮影後の楽しみもできて、充実の昭和町ロケハン散歩でした。